人身傷害保険と車両保険は、自動車保険の中でも自分自身や車の損害をカバーできる保険です。
それぞれ補償内容や対象が異なりますので、詳しく解説します。
人身傷害保険
人身傷害保険は、自動車事故によりご自身や同乗者が死傷した場合に、過失割合に関わらず、実際に被った損害額を保険金額の範囲内で補償する保険です。
主な補償範囲:
- 治療費: 事故による怪我の治療にかかった費用
- 休業損害: 入院や通院で仕事を休んだことによる収入の減少
- 精神的損害: 事故による精神的な苦痛に対する慰謝料
- 逸失利益: 後遺障害が残った場合や死亡した場合の将来の収入の減少
- 介護費用: 後遺障害により介護が必要になった場合の費用
- 葬儀費用: 死亡した場合の葬儀にかかった費用
補償の対象となる方:
- 記名被保険者(保険の契約者で、主に車を運転する方)
- 記名被保険者の配偶者
- 記名被保険者またはその配偶者の同居の親族
- 記名被保険者またはその配偶者の別居の未婚の子
- 上記以外の方で、ご契約の車に搭乗中の方
人身傷害保険のタイプ:
- 車内のみ補償タイプ: ご契約の車に搭乗中の事故のみを補償します。保険料を抑えることができます。
- 車内・車外ともに補償タイプ: ご契約の車に搭乗中の事故に加え、他の自動車に搭乗中の事故や歩行中の自動車事故なども補償します。補償範囲が広くなります。
注意点:
- 一般的に、運転者の故意または重大な過失による事故、無免許運転や飲酒運転による事故、地震・噴火・津波などの自然災害による損害は補償の対象外となります。
- 搭乗者傷害保険とは異なり、定額ではなく実際の損害額が支払われます。
車両保険
車両保険は、ご自身の車が偶然な事故により損害を受けた場合に、その修理費用などを補償する保険です。
主な補償範囲:
- 衝突・接触: 他の車や物との衝突、接触
- 当て逃げ: 相手が不明な当て逃げによる損害
- 盗難: 車両本体や部品の盗難
- いたずら・落書き: 車両へのいたずらや落書きによる損害
- 火災・爆発: 車両の火災や爆発
- 台風・竜巻・洪水: 自然災害による車両の損害
- 落下・飛来物: 物が落下したり、飛んできたりして車両が受けた損害
- 単独事故(一般車両保険の場合): 電柱やガードレールへの衝突、転落など
車両保険のタイプ:
- 一般車両保険: 上記のほとんどの損害を幅広く補償するタイプです。
- エコノミータイプ(限定型): 補償範囲を限定することで保険料を抑えたタイプです。一般的に、単独事故や当て逃げなどは補償対象外となる場合があります。保険会社によって名称や補償範囲が異なります(例:「車対車+A」)。
注意点:
- 地震・噴火・津波などの自然災害による損害は、一般的に車両保険の補償対象外となることが多いですが、特約でカバーできる場合があります。
- 保険金額には上限があり、車両の時価額が上限となるのが一般的です。
- 保険を使うと、翌年度の保険料が上がる可能性があります(等級制度)。
人身傷害保険と車両保険の違い
項目 | 人身傷害保険 | 車両保険 |
---|---|---|
主な補償対象 | 人の死傷 | 車両の損害 |
補償範囲 | 治療費、休業損害、精神的損害、逸失利益など | 修理費用、買い替え費用(上限あり) |
過失割合 | 関係なし(実際の損害額を補償) | 関係あり(過失割合に応じて保険金が減額される場合あり) |
対象となる事故 | 自動車事故全般(タイプによる) | 偶然な事故(タイプによる) |
保険金 | 実際の損害額 | 車両の時価額が上限 |
ご自身の運転状況、車の種類や年式、家族構成などを考慮して、必要な保険を選択することが大切です。人身傷害保険と車両保険を両方加入することで、万が一の事故の際に、ご自身と車の両方の損害に備えることができます。